建築家からのメッセージ 第1弾 伊原孝則 Vol.5

建築家からのメッセージ

  • バックナンバー
  • 樋田 和彦 Vol.3
  • 樋田 和彦 Vol.2
  • 樋田 和彦 Vol.1
  • 阿久津 雄一郎 Vol.3
  • 阿久津 雄一郎 Vol.2
  • 阿久津 雄一郎 Vol.1
  • 河崎 和浩 Vol.3
  • 河崎 和浩 Vol.2
  • 河崎 和浩 Vol.1

一家5人の理想をカタチにした最終プランは「太陽光を最大限に取り入れる家」

伊原孝則 - Profile -

伊原孝則

伊原 孝則 -Takanori Ihara-
前号で、建築家・伊原孝則先生が世田谷区に100㎡の土地をご購入されたS様へ注文住宅の設計を3タイプ、ご提案をしたことをお伝えました。
果たしてS様は、どんなタイプの家を選んだのでしょうか?今号では、決定したプランがさらにリバイスされていく様子をご紹介します。

FEDL(ファーイースト・デザイン・ラボ)
港区麻布台2-2-12-6BC / tel,03-3585-5573
伊原孝則 ホームページ
新しいウインドウで開きますhttp://fedl.jp

現地に3模型を持参し光の入り方をチェック

前号で、ご夫婦と、3、6、10歳の3男児で暮らすS様一家の「明るい、リビング中心の家」などのご要望を反映して、ご提案したのが、
◎A「東側が開いていて、太陽の光を最大限に取り入れる家」
◎B「中庭、トップライト、吹き抜けのある家」
◎C「リビングダイニングが細長い町家タイプ」
の3案。S様は、何度も現地に模型を持って行かれ、光が模型に入る様子を観察されたそうです。
その結果、やさしい光が壁伝いにリビングに注いでいたという理由からA案を選ばれました。

決定プランを見直しとことん理想を追求

次のステップは、A案で不都合がないかのリバイスです。
まず、家の北側の壁にあたった太陽光が、室内に反射するように家の中央に設けた壁が、南にあるほど光が多く入るのですが、2階の寝室が狭くなりすぎた為、中央の壁は少し北へ移動しました。さらに、お風呂は坪庭に面する奥へ、同時にトイレも移動しました。
これにより、リビングが広くなり、微妙だったテレビの置き場所も確保。玄関にはアウトドア用品が入る収納を設け、外にはそれらが洗える洗い場も備えました。デッキは少しでも長く日が差し、洗濯物が乾くよう寝室より前に出しました。

2階は、南面の高い位置に窓をつけ、その下を吹き抜けにし、よりリビングに光が入るようにしました。お子様たちの共有スペースが、2カ所の吹き抜けに挟まれた場所になったことで1階との一体感もアップ。トイレから洗面を外へ出し、共有スペースで水を飲んだり、手洗いができるようにもしました。 

子ども部屋は、下のお2人はまだ小さいので今は区切らずに1室に、長男の部屋は机を置いて自室でも勉強ができるように広くし、その上には、ひとつながりになったロフトも設置しました。

1階平面図 BEFORE/AFTER

模型イメージ

ライフスタイルにあう造作家具も提案

今回は、数人の建築家によるコンペではなく、私どもが複数案ご提案するという形で設計を進めましたので、施主様のご要望を長い時間かけてお聞きし、一緒に悩み、考えることで、だんだんプランが深まり、ご要望にぴったりのものに進化していきました。

最終段階の今は、実際に新居で使う電化製品や小物類は何がどれだけあって、それを過不足のない形で納め、かつ他のものを入れても大丈夫なようにフレキシビリティーももたせるには、どういう造作の収納が必要なのかを細かくチェックしている最中です。

  ◇  ◇  ◇

建築家と施主様とのパートナーシップのもとで、理想のオーダーメード住宅完成へと着々と前進。新居の明るいリビングで、ご家族5人が微笑む日が待ち遠しいです。

S様ご一家が新居で新生活を始められた際には、住宅購入や新増築を考える方にとって気になる、住み心地や使い勝手などもタイムリーにご紹介しますので乞うご期待を。

■全プラン延床面積の限度(150%) 150.09㎡
  /90~95.35㎡(27~29坪)建築面積の限度(50%) 50.03㎡
  /49.3~50.025㎡(14.9~15坪)敷地面積/100.06㎡