エイムハウスで土地をご購入された方々とパートナーシップをとりながら、オンリーワンハウスをプランニングされる先生方からのメッセージをお届けするシリーズ第3弾。
今号から3回にわたり、空間デザイナーの河崎和浩先生にご登場頂き、家づくりに対する考えや携われたプラン例などをお伺いします。
私の仕事は、レストランや物販店などの店舗デザインからスタートしました。
その後、オフィスと店舗が入ったビル、店舗兼住宅、マンションの全面リフォームなどの経験を経て、一戸建て住宅のプランニングも手がけるようになりました。
といっても1&2級建築士ではありません。法的な判断や申請業務などは知人の建築家に任せているので、空間デザイナーと言ったほうがよいでしょう。
実は、建築デザイン、インテリアデザインの区別があるのは世界的に見ても日本だけです。
日本も昔は、大工が施主様と話をして神社仏閣も家も建てていましたが、戦後の復興期以降、建築、工務店、内装業が分業化。
近年は内装デザインまでご自身で手掛けている建築家も増えてきましたが、分業花盛り時代の大きな仕事を主とし、小さな部分を内装に委ねていた建築家を「森を見て、木を見ない」と例えるなら、私たちは「葉っぱを見て、森を考える」という逆の発想で、家の内側の細部から家づくりにアプローチしているように思います。
▲ダイニング側と異なるフロアで印象を変えたリビング
▲富士山を望むバスルーム
▲港区青山邸
実際に、住宅をプランニングする際は、まず、今までどんな暮らしをしていたのか、これからどんな生活をしたいのか、家族は今後増える予定があるのかetc....の生活スタイルをヒアリングし、その手助けができるような空間デザインを考えます。
このへんは、家をつくるときの最低スタンスだと思います。建築家の方々も同じではないかと。
内側からの発想で得意なことの一つが、部屋の中が凸凹しないように、水道屋や電気屋と相談しながら、水回りの配管や電線、分電盤などを内装で隠し、なるべくシンプルなデザインにすることです。
それから、レストランのデザインをしていたとき、オーナーが厨房や店内の動線ほどは気にせず、デザイナーの思いを込めやすい場所がトイレだったせいか(笑)、住宅でも毎日使うトイレには、くつろげる、楽しいなどの要素を設置場所に応じて盛り込むようにしています。
たとえば、人を呼んでパーティーをすることが多いという、港区青山のA様宅のリビングのトイレ。奥行きがかなりあったので、サイドに取り付けた化粧直しもできるミラーと間接ライトで奥行き感を和らげ、手洗いには、水が滝状に流れる水栓を設置しました。
渋谷区富ヶ谷の100坪7LDKのマンションを3LDKにリフォームしたときには、富士山が見える位置にバスルームを配し、伊豆の温泉場で使われている青石を使い、当時、まだ珍しかった液晶テレビを設置。
水回りの一例に限らず、家全体の細部にまで、快適な空間をご提供できるように、常に心がけています。
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次号では、今回、細部のこだわりでも少し触れた青山のA邸の全体像をご紹介します。
掲載日:2009年11月30日