昨年スタートした、エイムハウスがご紹介する建築家の先生とパートナーシップをとりながら、オンリーワン住宅を建てるシステム。
その建築家の中のお一人の阿久津雄一郎さんにご登場いただき、3回連載で家づくりに対するこだわりなどをお届けします。
私の設計は、主に住宅と別荘を中心に、商店建築やマンションのリノベーションなども何軒かやらせて頂きました。立場的にクライアントから、杓子定規に「先生」と呼ばれることが多いのですが、そんなときには、「名前で呼んでください」とお願いしています。決して私の立場が上ではないので、目線を同じにして親身に仕事に取り組みたいのと、何年キャリアを積んでも初心を忘れずにいたいからです。
いろいろな仕事をしてきた中で、住宅と別荘、店舗等には、基本的な違いはありますが、デザインというフィールドでは、あまり違いがないように感じています。そのデザインでの私のこだわりは、シンプルであること。奇抜な、飽きがくるようなデザインをこちらからご提案することは、まずありません。
デザインのこだわりは、『黄金比』に代表されるように、単純な形のなかにも必ず美しいプロポーションが隠れていますので、ミリ単位でこだわる所もあります。そういったディテールのこだわりがいくつも集まって1つの空間をつくり、その空間の集積が建物になるからです。ただし、俯瞰で全体を見ることも、見た目や使い勝手を知る上で必要なので、常に寄ったり引いたりということを繰り返しながらデザインづくりをしています。
素材感も大事です。たとえば、塗り絵は同じ輪郭の絵に、クレヨンで塗るか色鉛筆、絵の具で塗るか、また使う色でも仕上がりが全く変わります。建物の場合、塗り絵の輪郭もこちらでつくりますが、その輪郭とともに、同じ価格帯の中でも、どんな素材のどの色を使えばベストなのかも常に吟味しています。
シンプルだけれどもディテールや素材感、色の妙にこだわったことで、身を置く空間が、心地よい空間に構築されていくということをモットーに取り組んでいます。
▲制作実績:横浜B様邸
機能面に関しては、ケースバイケースなので施主様にリサーチします。
中には玄人肌の建築知識をお持ちの方もいますが、ほとんどの方は、見下すわけではありませんが建築の素人です。
建築材料や色の選定のことで、よく花束に例えるのですが、お客様が希望される多くの花の種類で花束をつくろうとすると、一つ一つの花はきれいでも、お互いが主張し過ぎてきれいな花束に仕上がらない場合があります。
そんなときは、花の種類や色を変え、同系色のグラデーションで統一するとなどすると、美しい花束がコーディネートできるといった具合です。
家づくりも同じです。
まず、施主様のご要望を引き出し、受け止め、精査し、それにこちらの意見とデザインを織り交ぜて熟考したベストアンサーを導き出すように心がけています。
施主様は、思いやご要望をどんどん伝えてください。私たちが理想の建物へと導きます。
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次号では、阿久津さんが設計した城南地区2邸のこだわりをご紹介します。
掲載日:2010年2月28日