建築家からのメッセージ 第1弾 伊原孝則 Vol.4

建築家からのメッセージ

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夫婦と元気盛りの男3兄弟で暮らす一家の要望は「明るい、リビング中心の家」

伊原孝則 - Profile -

伊原孝則

伊原 孝則 -Takanori Ihara-
建築家・伊原孝則先生の家づくりに対するメッセージをお届けするシリーズ第4弾。今号から、数回にわたり、先生が注文住宅設計の依頼を受けたあと、実際に、プランづくりに着手してからのプロセスやこだわりを世田谷区に100㎡の土地をご購入されたS様の事例を通して、ご紹介します。

FEDL(ファーイースト・デザイン・ラボ)
港区麻布台2-2-12-6BC / tel,03-3585-5573
伊原孝則 ホームページ
新しいウインドウで開きますhttp://fedl.jp

要望ヒアリングから家づくりスタート

S様はご夫婦と、3、6、10歳の息子さんの5人家族。設計する際の主なご要望は、
◆家族や、訪れる友人達と、一緒に過ごしたり、飲食をするリビングが明るく、家の中心にある家。
◆子ども部屋は当初は区切らなくてもよいが、いずれは3個室にしたい。2階に設ける場合は、1階にいても吹き抜けなどから子どもたちの様子が感じられるような一体感が欲しい。
◆将来、親との同居も想定し、間取りがフレキシブルに変更できるならなおベター。
◆太陽光があたる場所に洗濯物を干したいetc....でした。

こうした要望はタダですので、S様に限らず、どんどん言ってくださって構いません。
そんな中でも、最後のご要望は、奥様がぜひとも実現して欲しいとのことでした。
けれども、ご購入された土地の南側にはすでに家が建っていて、北側も家が建つ予定。開いているのは、東側だけという条件でした。

家族と建築家の想いを3タイプのカタチに

いろいろ考え、最初に2案をご提案しました。A案は、東側が開いていて、光を最大限に取り入れる家。細長い2層にスパッと分かれたような形で、南側から差し込んだ太陽光が北側の壁にあたったあと、2層の真ん中の壁に反射して、家の中に回るという設計です。

B案は、中庭タイプ。屋根の大きなトップライトと下の吹き抜け、そこから続く中庭からたっぷり光が入ります。このプランのもう一つの特長は、1階の寝室を中庭よりも下がった半地下にし、東西に窓をつけたこと。リビングからの視線が外まで抜け、逆に、屋外の視線からは寝室のプライバシーが守れます。半地下にした分、天井高が高くなり、圧迫感のない空間にもなりました。

S様も私たちも、悩み、なかなか結論がでなかったのですが、新しくC案が生まれたので、再度ご提案。C案は、リビングダイニングが細長く続く町家タイプです。1階は、男の子3人が家の中でサッカーなどをしながらそのまま道まで出ていけるようなイメージで、2階にも階段を昇った先にそれぞれデッキをつけ、長いスペースをつくりました。
  どのプランにも共通する箇所は、2階に、南側からそそぐ光で洗濯物がカラッと乾かせる場所を設けたことと、子ども部屋3室の他に、3人が共有で自由に使え、1階と一体感もある第二のリビングのようなスペースを用意したことです。

    ◇  ◇  ◇

注文住宅ならではの未来の住まい空間を創造する楽しみ。そして、施主様と深いコミュニケーションを重ねることで生まれた、住まう人の夢に応える建築家のバラエティ豊かなプラン。果たして、S様一家はどのプランを選ばれたのでしょうか? 次号を、お楽しみに!!

断面図

A案・B案・C案