建築家からのメッセージ 第1弾 伊原孝則 Vol.3

建築家からのメッセージ

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スペックではなく、身体感覚にあった家選びを「建売住宅の選び方、教えます」

伊原孝則 - Profile -

伊原孝則

伊原 孝則 -Takanori Ihara-
これまで2回にわたり、建築家・伊原孝則先生が設計された注文住宅を通して、先生の家づくりに対するこだわりをお伝えしてきました。
今号では、建売住宅にスポットをあて、設計するときに重視されていることや購入を考えている方へのアドバイスなどをお届けします。

FEDL(ファーイースト・デザイン・ラボ)
港区麻布台2-2-12-6BC / tel,03-3585-5573
伊原孝則 ホームページ
新しいウインドウで開きますhttp://fedl.jp

注文住宅のノウハウを建売住宅設計にも反映

私共のオフィスでは、住む人の生活や身体感覚に根ざした注文住宅とともに、既製品である建売住宅の設計も行っております。建売住宅は、お客様の顔が見えません。しかし、今まで注文住宅の設計で直接、エンドユーザーと接してきた中でキャッチした、現代のニーズなどをフィードバックさせながら、いろいろなライフスタイルが送れるような家づくりをめざしています。

以前、4棟の建売住宅を設計したときには、吹き抜けのある家2棟、スキップフロアのある家1棟、大きなガレージのある家1棟という構成にしました。しかし、各棟に掲げたテーマはご提案に過ぎないので、大きなガレージを店や教室、SOHOなど、自分にあった使い方をしても構いません。実際、そこに住まわれた方は、ペット用品のショップに活用したと聞いています。

屋内では、たとえば子ども部屋。広い部屋で兄弟姉妹が一緒に過ごすほうがよい、逆に個室のほうが自立が早いなど、考え方はさまざまです。どちらにも対応する為に、子ども部屋は個室にせず、状況にあわせて個室に分けられるように、電気のコンセントやスイッチを複数配置する設計にしています。

平剛風アトリエ TAIRA TAKESHI ATELIER

注文住宅のノウハウを建売住宅設計にも反映

拡大図面コピーで身体感覚のチェックを

私は、建築家と何度も打ち合わせをするのが面倒な方や、実際に建っている家を自分の目で見て確かめたほうが、どの家がよいか選びやすいという方は、注文住宅よりも建売住宅が向いているように思っています。
その建売住宅の購入を希望される方々を見ていて、一つ気になっているのが、マンションを選ぶときのように部屋数や広さ、天井高、設備などのスペックばかりを見て比較する方が多いということ。
建売住宅を購入するときには、自分たちがそこでどんな生活ができるかという視点をもたない限り、自分にあう住宅がなかなか見つからないように思うからです。  

生活には、周りの環境や隣近所も含まれます。それから、食事をする時間が長く、それが一家の団欒タイムになっている家族ならダイニングが広い家、食事はサッと食べて、リビングのテレビを見る時間が長い家族ならリビングが広い家がふさわしいなど、ライフスタイルもチェックポイントとなります。

ただ、人は身に纏う洋服や家具、車くらいまでの大きさなら自分にあったものが考えられるのでしょうが、家まで大きくなるとイメージしづらくなり、スペックや価格、あるいは憧れなどで選んでしまうのかもしれません。

そんな方は、まず、気になる建売住宅の図面をできるだけ大きく拡大コピーして壁に貼り、コピーに家具も描き、その家で自分たち家族がどういう生活ができるかを想像してみてください。
身体感覚にあう家かそうでない家かが、より体感しやすくなると思います。